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(8) モノを超えた差別化を目指して

 ビジネスはモノからコトへ、と言われて久しいです。ほとんどのモノには物理的な制約条件があり、品質・コスト・納期のどれにも限界点があります。 そしてモノづくりのノウハウはいつかは他社に流出しますから、モノの最終的な差別化要因はコストだけになり、低コスト国の製造業が有利になります。 高コスト国ではモノ以外での差別化が必要になります。 

 今回のパンデミックで、ビデオ会議やチャットが当たり前になり、学校教育もオンライン、買い物もオンラインが主流になりました。 我々が日々対面するのは、PCやスマートフォン上のソフトウェアです。 そこでの操作性や互換性が我々にとっての使い易さになり、価値を作ります。 一方で、カメラやマイクロフォンのようなモノは、コストだけで差別化される交換可能なコモディティになっています。 

 モノを超えた差別化方法はソフトウェアに限りません。 ビジネスの世界ではサービスへのシフトの重要性が強調されてきました。 モノではなく、顧客が得る価値そのものを提供することによって、顧客のバリューチェーンの中に入り込むことを狙います。 企業はメーカーではなくサービサーとなり、コストではなく実現した価値の一部を対価として請求するようなビジネスモデル(サブスクリプション・成功報酬)へのシフトが求められています。 

 もちろんこのシフトは単純ではありません。 製造業とサービス業、ハードウェア開発とソフトウェア開発、さらにはメーカーとサプライヤー、のような従来の役割分担があいまいになってきています。 得意分野に集中することは重要ですが、同時に複眼的な思考によるビジネスモデルの見直しもより重要になっているようです。