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(6) 米中関係の改善を願って

 米国に長く住んでいると、一つの国の中に驚くほどの多様性があることに気付かされます。中国にもそれは当てはまるのではないでしょうか。 日本にとって最大の貿易相手国である中国を知る日本人が増えるにつれて、日本人の中国像も多様になっているはずです。 しかしながら自分の頭の中にある「中国」のステレオタイプから離れるのは難しいことです。 

 メディアはあるストーリーに沿った形で現実を切り取って報道するため、我々は知らないうちに単純化された世界観を持たされがちです。 与えられた情報を娯楽として消費しているだけであれば、それでも問題はないかも知れません。しかし生活や生命に関わる判断をする場合には多面的な見方が必要だと思います。 政治家や論客の主張はせいぜい10年が賞味期限ですが、その影響を被るのは一般市民で、しかもそれは数世代に及びます。 

 ここに来て第2の冷戦と言われるぐらい、米中関係は悪化しています。米国・日本を含む西側諸国にとって大切な、自由や民主主義といった理念を中国は共有していない、したがって中国とは共存できない、という見方があります。 一方で中国側からすれば、アヘン戦争以来、西側諸国に搾取され、その後日本に占領された「屈辱の100年」は決して忘れられるものではなく、自由や民主主義に関する西側のダブルスタンダードを非難する声も多くあります。 

 今後とも米国は唯一のスーパーパワーとしての立場を維持しようとし、中国は世界最大の人口にふさわしい位置をしめようとするでしょう。 政治的対立は経済的対立を促します。 しかしながら、すべての米国人が同じ考えを持っているわけではないですし、米国企業で働くのは米国人だけではありません。 同じことは中国人についても言えます。 米国の大学には中国人留学生が37万人 (2019年) いますので、若い世代による連携強化に期待し、応援したいと思います。 そして両国のリーダー層が将来の世代に負の遺産を残さないことを願っています。