USJP INSIGHTSは、DXとAI、メガトレンド、VUCA時代の企業経営など日系企業のマネジメント向けの参考情報をお届けするニュースレターです。
メガトレンドDXとAI脱炭素ビジネスVUCA時代の企業経営
USJP INSIGHTS
メガトレンド

(5) リモートワークを成功させるには

 Covid-19の影響でリモートワークが日常化した企業も多いと思います。ネットワークやセキュリティの整備、ビデオ会議システムの導入など、テクノロジーの補強にIT部門は追われたことと思います。しかしテクノロジーは、リモートワーク成功の必要条件であっても十分条件ではありません。 

 創業時から完全リモートワークを実施し今では世界77都市に1100人の在宅従業員を抱えるWordPress.comの創業者のMatt Mullenwegの経験談をいくつかご紹介します。 

■ リモートワークでは個人の仕事の成果が社内の全員に分かってしまう。付加価値の出せない社員は居場所を失う。

■ 社員が怠けることよりはむしろハードワークし過ぎることに注意が必要

■ 採用は主にチャットでの面接で行う。そうすると人種や年齢、性別などのバイアスがかからず、候補者の能力を評価しやすくなる。

■ 働く場所に関わらず同一職種であれば同じ報酬を支払う。

■ コミュニケーションの基本は会話ではなく文字(テキスト)だが、必要に応じて電話で話すことは重要 

 ここで重要なのは、リモートワークを効率的に行うためには、仕事のやり方が「分散・非同期」になっているということです。分散とは個人ごとに独立して取り組めるタスク設計になっていること、非同期とは一人のタスク遂行が他の人と同じタイミングである必要がないことです。  

 リモートワークを成功させるためには組織文化も重要です。従業員に動機をもたせるには「目的」「自己向上」「自主性」が重要と言われます。「目的」とは金儲け以外の社会的な意義、自己向上とは仕事を通じて自分を高める機会、自主性とは自分で自由に工夫できる余地、を意味します。これらは組織を一つにまとめる文化のようなもので、オフィス環境であれば会話や仕事を通じて補強し合うことができますが、リモートワークでは意識的に構築することが必要になります。「テクノロジー整備」と「仕事の分散・非同期化」に加えて「組織文化構築」はリモートワークを成功させる第3の柱と言えるでしょう。