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(4) AIのビジネス利用

 Covid-19の研究や治験にAIが使われている、という報道を目にします。しかしよく読めば、AIという言葉は、機械学習、データサイエンス、コグニティブ(認知機能)、言語処理、ロボティクスなどの幅広いコンピューターの利用領域を指していています。自然科学や人文科学の世界ではこうしたタイプのAI利用はもはや日常的なものになっています。 

 ビジネスの世界では、しばらく前に「クラウドとモバイルで」「ビッグデータとIoTで」「モビリティとコネクテッドカーで」新事業を起こそう、というのが多くの企業の掛け声でした。それが今では「AIで新事業を」「AIで差別化を」という言葉に変わっているようです。具体的には、プロセス自動化(RoboticProcess Automation - RPA)、機器の予兆診断、チャットボット、画像認識、不正行為発見、パーソナライズドマーケティング、などがよく挙げられます。 

 科学者にとって新たなツールを使うことは新たな発見に直結しますが、ビジネスの世界ではツールの利用と経済価値創出の間に時間的なギャップがあります。SF映画に出てくるような「人間のように自分で考えるAI」ができれば人間の仕事はなくなりますが、それまでは「新しいツールをどうビジネスに活かすか」という古くからある問題に我々は取り組まないといけないでしょう。 

 AIは見慣れたテクノロジーと異なり目まぐるしく進化しています。工場の設備やPCのように一度インストールすれば少なくとも数年はそのまま使えるものではなく、見直しとアップデートに定常的な投資が必要になります。また投資対効果を測定するのもシンプルではないケースが多いようです。このようにAIの利用には新しいスキルが必要になり、人材獲得の激しい競争が起きています。進んだ企業では従来のコンピューター利用(IT)とは別にAI専門家を採用するか社内での配置転換と育成を進めています。テクノロジーの探求と同時に人材ポートフォリオの見直しが必要になっています。