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(21) 国と企業

  競争力ランキングや、大学ランキング、一人あたりのGDPなど、いろいろな指標において世界における日本の地位低下が報道されています。かつてジャパンアズナンバーワン、と言われた時代を知っている身としては少し寂しい気がしますが、これをどう受け止めたらいいでしょうか。

 一人あたりGDPランキングで上位を占めるのは、金融サービスを中心とする小国と資源国です。ヨーロッパはEUとしてまとまることで大きなマーケットを作っています。その中ではアイルランドやオランダのように優遇税制を活かして外国企業を呼び込んでいる国もあります。日本は資源のないアジアの島国で、輸出が経済発展を牽引してきましたが、今では同じような立地にある台湾に大きく引き離され、韓国に並ばれています。

 国全体を比較すれば、日本は世界第3位の経済規模を持っています。このことがかえって日本企業の内向き志向を促しているのでは、という仮説があります。無理に海外で競争しなくても国内で安定して稼げればいいという風潮。その結果が「失われた30年」につながった、という見方もできるのではないでしょうか。

 以前イスラエルを訪問した時、この国の起業家にとっては、国内マーケットに頼れないということが発想の根本にあることに気付かされました。彼らは世界から調達して世界に売ることを考えます。国も大切だけれど、それ以上に大切なのは自分たちが生き残り、次世代に文化を伝えること。もちろん日本とイスラエルでは歴史も地理的条件も大きく異なりますが、日本の経営者が学べることもあるのではないでしょうか。