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(2) パンデミックから何を学ぶか

 今年(2020年)の3月まで、世界保健機関WHOはCovid-19をパンデミックではなくエピデミックと呼んでいました。エピデミックは「人々の上に」、パンデミックは「すべての人々に」を意味します。将来ワクチンが開発されても、Covid-19を引き起こすウィルスは駆逐されず、インフルエンザのように人間と共存していく普通の病気、すなわちエンデミック「人々の中に」になると専門家は予測しています。 

 人類が始めて出会ったこのウィルスとどのような形で共存していくかは、予測が付きません。しかしニューヨークやイタリアのように、ウィルスが猛威を奮った場所でも数カ月で感染は鎮静化しています。それは生物学的な対応というより文化的な対応で、Covid-19という病気に社会としてどう対処するか、という人間の学習効果の結果であると考えられます。 

 ビジネスもいろいろなやり方でCovid-19と共存していくと予測されます。例えばいち早くデジタルオファリングへのシフトや3Dプリンティングを推進すれば競合に対して時間的優位に立ちますし、従業員の健康管理やリモート勤務体制を整備すればより強靭で自由度の高い経営基盤を獲得することができるでしょう。 

 WHOは、健康は国境を超えた人類共通の課題であり、その対策には国々をコーディネートしたアプローチが必要であるという認識で設立されました。司令塔の役割には、現場から正確な情報を収集し一貫した対策を指揮したり、ベストプラクティスを作成し共有することなどがあります。グローバルに展開するビジネスの経営者にも今回のパンデミックから何を学び、ビジネスをどう変えていくのか熟考することが期待されているのではないでしょうか。