(17) 宇宙ビジネス
宇宙ビジネスというと、世界的な大企業と米中露のような軍事大国が独占しているように思われるかも知れませんが、実はその可能性に多くの企業やスタートアップが注目しています。 1つ目の理由は、テクノロジーが進歩し、参入コストが低くなっていること。 2つ目の理由は、民間企業が参入してエコシステムの裾野が広がっていること。 3つ目の理由は、高成長が期待されていること。 今後20年で世界の市場規模は現在の35兆円規模から3倍に成長するという予測もあります。 日本でも、JAXA(三菱重工)が商用ビジネスとしてUAEの火星探査機を打ち上げて話題になりました。
今一番の注目を集めているのが、数万機の低軌道通信衛星を打ち上げることで、全世界で高速のデジタル通信網を構築する試みです。SpaceXやAmazonなどが相次いで計画を発表しています。 これには衛星の製造・打ち上げに加えて、数百万といわれる地上基地局の建設や、データ通信サービスなどのビジネスが見込まれています。 多くのサプライヤーやサービサーにとってのビジネスチャンスが生まれると期待されています。
データ通信の他に期待されているのが、環境モニタリング、資源探査、エネルギー、移住、観光などです。 地球が環境危機に直面しているのに、宇宙開発に投資するのは矛盾して見えるかも知れません。 しかし宇宙開発が今後どのように進化し、人類に恩恵をもたらすのか、現在の知識で判断することはできないと思います。 宇宙に注目することで人類の集合的意識が変わるかも知れません。
宇宙ビジネスにおいて、日本の精密機械産業は、すでに世界的に競争力のある技術力とサプライチェーンを持っていると言われています。 JAXAは低予算にも関わらず世界でも先進的な技術を持っているという話も聞きます。 その一方で、日本の企業は長い間ゼロベースで挑戦することを後回しにしてきたような気がします。 一度現業を離れて、宇宙ベンチャーの経営者と話をしてみてはいかがでしょうか。 新たな気付きが得られるかも知れません。 先入観なしにビジネスチャンスを検討することをおすすめします。