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(13) ビジネスと国境

  先日、好調な業績を続ける米アマゾンが3万人のテレワーク可能な従業員を募集するというニュースが話題になりました。 平均給与は年間15万ドルだそうです。今は米国在住者が対象のようですが、テレワークを前提にすれば、全世界から求人することも可能でしょう。    

 資本主義が進んで世界がフラット化する、という見通しを書いた本は2005年にベストセラーになりました(The World is Flat - Thomas Friedman)。 しかし、その後の金融危機、長く続いたイラク戦争・アフガニスタン戦争とイスラム原理主義の台頭は、楽観的な予想が必ずしも当たらなかったことを示しています。最近では、経済的・技術的・軍事的覇権を巡るアメリカと中国の争いが話題になっています。    

 結局、世界はフラットにはならず、いくつかの政治的・経済的ブロックに分かれて発展していくようです。さらに地震・疫病などの自然災害のリスクや、温暖化ガス排出の問題などで、グローバル一体化を求めたかつてのロジスティクス戦略は見直しを迫られています。 企業はこうした制約のもとで、地域ごとにマーケットとサプライチェーンを構築していくでしょう。 こうしたローカル経済圏の成長は新たなビジネスチャンスです。   

 今では製造業だけではなくサービス業でもオートメーションが進み、低賃金国を使ったオフショアモデルは魅力がなくなっています。さらに消費者が払う商品の価値はモノの製造コストから、デザインや市場投入までのスピードや、ユーザーインターフェースや利便性による付加価値に移っています。それらを生み出す仕組みを構築しローカルマーケットに合わせてアップデートできる企業が競争優位に立ちます。勝ちパターンが変わってきていることに注意が必要だと思います。