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(10) デジタルトランスフォーメーションで本当に重要なこと

 機械が人間の仕事を奪う、というホラーストーリーは18世紀の産業革命の昔からあります。 今から90年前に経済学者のケインズは、自分の孫たちは週に15時間働けば済むようになると予言しました。 しかし、21世紀になってむしろ働く時間は増えていて、それは機械を使いこなす頭脳労働者に著しい、という調査結果があります。 結果的に機械はより多くの仕事を作り出したようです。 

 21世紀の機械はデジタルテクノロジーです。機械による省力化(=コスト削減)は続きますが、今は新たな価値を生み出すことによるトップライン(売上)向上に焦点が置かれているようです。 例えば、Uberのサージプライシングがあります。従来固定化していたタクシーの運賃を、需要ピーク時にリアルタイムで値上げすることで売上増が可能になります。 また、AirBnBは、使っていない個人宅を宿泊施設として販売する道を開きました。 

 デジタルテクノロジーによって、従来の「製品」や「サービス」は、物理的な制約を外され、新しい可能性を持ち始めています。 それは製造業の世界では「モノ売りからサービスへ」「ハードウェアからソフトウェアへ」という言葉に象徴されています。最近よく耳にする「デジタルトランスフォーメーション」はまさにこうした事態を指していると思います。 

 企業として、ITツールの利用や社員のITスキルの底上げは必要ですが、それだけでは「トランスフォーメーション」を実りあるものにするのは難しいでしょう。 まずは経営者が、ビジネス全体に対するデジタルの影響力について見通しを持つことが重要だと思います。 いつの時代でも価値の源泉は顧客です。キーポイントは、顧客が何に価値を見出し、どのような情報を求めているか、ではないでしょうか。それは今までにない速度で変化しているように思います。