USJP INSIGHTSは、DXとAI、メガトレンド、VUCA時代の企業経営など日系企業のマネジメント向けの参考情報をお届けするニュースレターです。
メガトレンドDXとAI脱炭素ビジネスVUCA時代の企業経営

(7) DX事例紹介(はじめに)

「ソフトウェアが世界を食い尽くしている Software is eatingthe world」というタイトルの記事がウォールストリートジャーナルに掲載されて評判になったのは2011年でした。記事はベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンが書いたもので、今後10年間はソフトウェアを武器にした新興企業と既存企業の歴史的なバトルが繰り広げられるだろうと述べ、アメリカ発のソフトウェア会社の活躍に大きな期待を寄せています。 

10年経った現在、その予測は当たっていると思います。一つだけ彼が触れなかったのは中国発のソフトウェア企業の躍進です。自由主義諸国と中国では別々のソフトウェア経済圏が構築されつつあります。この傾向はしばらく続くと思われます。 

話をアメリカに戻します。既存企業の中では、Borders(書店)のようにソフトウェアをめぐる戦いに負けたものもあれば、自らをソフトウェア会社にシフトさせ生き残りを図るものもあります。民泊最大手のAirbnbに対抗したマリオットグループが、昨年自らシェアハウス事業を立ち上げて話題になりました。製造業など物理的なモノを扱う企業でもソフトウェアを使って付加価値を創出する方法を模索しています。ガソリン自動車から電気自動車へのシフトに直面している自動車メーカーとその周辺産業は、ソフトウェア化の波にどう対応すべきか、という課題の真っ只中にいると言えます。

ソフトウェア化は、新しいビジネスモデルをもたらしました。以下のようなビジネスモデルの発展段階が考えられます。

■ デバイス(ハードウェア)の提供

■ デバイス+ソフトウェア=ソリューションの提供

■ ソリューションの統合=サービスの提供

■ 上記すべてを使ったアウトカムの提供 

ベンダー側は、ソフトウェアの持つ柔軟性・適用性を活かすことで、競合との差別化を図ることができます。サービス化はさらに「サブスクリプション型契約による従量制課金」を可能にします。これによって顧客は価値に対する対価だけを払うようになります。ベンダー側は顧客のデータを詳しく知ることによってさらに価値の高いサービスを提供し、また顧客をロックインすることができます。