(27) ロボタクシー体験レポートと今後の展望
ウェイモ乗車体験
配車リクエストの方法は、ウーバーやリフトと同様に、専用アプリを使用し、乗車地点と降車地点を指定するだけです。日本のタクシーアプリのGOやS.RIDEともほぼ同じ手順です。以前はウェイモのアカウント取得にウェイトリストがありましたが、現在は即時取得が可能なようです。
筆者のこれまでの経験では、車両は3〜5分で到着しました。ウーバーやリフトは都心の商業地区などで運転手が道を間違えるなどの間違いをし、遅れることがありますが、ウェイモは予定時間どおりに到着することが印象的です。ウェイモの各車両には親しみを持たせるために人名が付けられており、到着時には屋根のディスプレイに乗客のイニシャルが表示されます。数台の同型のウェイモが同時に現れても自分の車を容易に識別できるようになっています。
車両の屋根上や四隅についているカメラやライダーは、常に外部環境を監視しており、大型機器を目立つ形で装着することでロボタクシーとしての存在感を示しているように見えます。ドアは専用アプリを操作しないと開かないため、いたずらやカージャックのリスクは低いようです。
乗車中はウェイモ車両の視覚情報が社内モニターにリアルタイムで表示され、前後左右の車両に加えて、数台先の車や、大きな荷物を持つ歩行者なども認識している様子が確認でき、乗客に安心感を与えます。人間のドライバーではこれだけの情報を同時に把握し、活用することは難しいと感じました。
ウェイモは法定速度を遵守し、無理な割り込みを行わない安全な運転を提供しますが、狭い道でも必要以上に減速せず、一時停止では必要な分だけの停車でテキパキと運行します。もし、日本のベテランタクシードライバーが法定速度を守って運転したら、こうなるだろうという運転です。運転手により運転の仕方が千差万別なウーバーに比べ、ウェイもは一貫した安全性を提供してくれます。また、テスラの自動運転よりはかなり高度なアルゴリズムを使用している印象です。目的地に着くと、フレンドリーな声で到着をアナウンスしてくれます。
一度、誤った乗車場所を指定してしまった際、カスタマーサービスに連絡すると、カスタマーサービス要員は遠隔操作でウェイモを移動させることができないと説明されました。そのため、最初の配車を無料でキャンセルし、新たなリクエストを出すよう指示されました。この仕組みにより、トラブル時の責任範囲が明確になっています。ウェイモ社がすべてのロボタクシーを所有していることも、気軽にキャンセルできる理由かもしれません。
料金はウーバーやリフトの市場価格と連動しているようで、金額はほぼ同じですが、チップが不要な分だけウェイモが割安かもしれません。アメリカではチップのインフレが進んでいますが、今のところウェイモからチップを要求されたことはありません。
ロボタクシーがもたらす未来の都市像
ロボタクシーの普及は、私たちの生活や都市構造に大きな変化をもたらすでしょう。自家用車所有の必要性が減り、駐車場も不要になる可能性があります。ロボタクシー技術がロボトラックに応用されれば、自動運転トラックの深夜搬送が一般化するかもしれません。駅から離れた住宅地も周辺環境が良ければ人気が高まる可能性があります。
個人は移動中の時間を仕事や娯楽、睡眠に活用できるようになり、通勤ストレスが軽減され、より豊かなライフスタイルが実現するかもしれません。
ロボタクシーに残された課題
しかし、ロボタクシーの本格的な普及に向けては多くの課題が残されています。主な課題としては、予期せぬ道路上の事象への対応、製造コスト削減、賠償責任の明確化、安全性確保の規制、サイバーテロへの対策、そして充電などのインフラ整備が挙げられます。技術や社会の進化に対して積極的なアメリカでは、これらの課題は今後数年以内、遅くても10年以内に解決されると私たちは考えています。
私たちの考えは楽観的かもしれませんが、皆さんも未来を見据え、事業や生活計画のシナリオを考えてみてはいかがでしょうか?まだロボタクシーを体験したことがない方は、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスでウェイモ利用をおすすめします。また北京、上海、深圳では複数の業者がロボタクシーを運行しているそうです。私はまだ乗ったころはありませんが、中国のロボタクシーが世界最先端の技術を持っているかもしれません。