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(19) 自社の競争優位性を活かす

ビジネスは顧客価値を提供することで経済価値(利潤)を作ります。同じような顧客価値を提供する競合との比較において自社が顧客に選ばれる理由になるのが、競争優位性です。しかしながら、長く安定したビジネスを続けていると、何が顧客価値で何が競争優位性なのか自明でなくなってしまう場合も多いのではないでしょうか。その結果、価格でしか差別化しなくなったり、競合への関心が薄れてしまうこともあるかも知れません。長年の信頼や伝統は大切ですが、それだけではどう差別化すればいいのかという問いに答えることはできません。

逆にその答えを明確化できれば、経営資源分配の優先順位が決まります。自社の優位性をさらにてこ入れしたり、他の分野に転用したり、パートナー企業に提供したりすることで新たな成長機会が見つかる可能性が出てきます。

自社の優位性を他の用途に適用して成功した例を挙げてみます。

■ Amazon 自社ECのために構築した倉庫や配送網をFBA (Fulfillment by Amazon)として他の小規模EC業者に有料で提供する。高品質でグローバルなプラットフォームの使用料から安定した売り上げを確保する。

■ Tesla Giga Factory Space XやTesla EVの製造で培った最新の生産技術(自動化やサプライチェーン管理システム)を電池の大量生産に使う。

■ Netflix 他社制作のコンテンツ配信を通じて得た顧客の選好情報をオリジナルコンテンツの作成に活かし成功。

このような成功例は、どこまでが偶然でどこまでが狙っていたものかは外からは分かりませんが、共通して言えるのは、どれも経営者がリスクをとってスピード重視で新事業に展開したことでしょう。

自社の優位性は当事者たちには見えにくい場合もありますし、環境とともに変わるものです。SWOT(強み・弱み)分析はよく使われる手法ですが、全体戦略との整合性が取れなかったり、具体的な施策に結び付けられずに終わる場合があるようです。外部の目を入れて定期的に見直すことを推奨します。